だぶ散歩

だぶ散歩

旅行、廃墟の話をしたりTrySailの話をしそう

【旅行記】香川4日目(豊島)【2023】

高松港から行く、ふたつめの島は豊島てしま

前回の記事はこちらから。

boooom.hatenablog.com

 

 

今日も始発便に乗り込む。雲ひとつない晴天に凪いだ瀬戸内らしい海でテンションが上がる。

どうしても晴れた日に行きたかった島だったので、こんなに好都合なことはない。

船がやってきた

澪(船の航跡)を見るのが好きなので後部デッキに座る。朝一にしては珍しく観光客が多くいた。外国からの団体もいて、豊島が人気な島なのだと気づく。

ここから30分ほどの船旅だ。

遠ざかる街と澪

街はすっかり見えなくなった

凪いできた

船内

 

豊島

家浦港に到着。直島での自転車と散歩で脚がクタクタだったので、豊島探索には原付を借りることにした。

E-Vino

電動バイク!パワーはないが加速に感動した。お店の人の説明を受け、予備バッテリーをシート下に入れて出発する。長いこと乗っていたのがYAHAMAのVOXだったからだいぶ小さく感じた。

 

島にはいくつかの美術館が点在していて、今日はそれをめぐる予定だ。

一番のお目当である豊島美術館の開館まではまだ時間があるので、とりあえずうろついてみる。

開放的

豊島で画像検索をすると出てくるところ。さすがに綺麗だ。このためだけでも晴れた日に来たかいがある。

バスがまだ通っていない時間だったせいか人が少なく写真も撮りやすかった。

豊島美術館はこのすぐ隣にあるが、一旦スルーして道なりに進んでいく。

f:id:boom_h2o:20230326135635j:image

豊島もアップダウンの激しい島なので、坂をずーっと下るとわっと広がった海岸にたどり着く。海と空の青さがはっきりしていて最高だ…

ちなみに見えている船は、ここからすぐ近くの唐櫃からと港に着港する。香川側から来る船は

家浦港、岡山側から来る船がこちらの唐櫃港に着く。

唐櫃港を離れる

棚田

豊島美術館の近くまで戻ってきた。

棚田にあるベンチでひなたぼっこをしながら、街で買っておいたパンを食べて美術館の開館を待つ。

豊島美術館

真っ白なチケットをもらい、館内に向かう。

f:id:boom_h2o:20230326135505j:image

直線距離だと数秒なのだが、豊島の自然を楽しませるためか入館の道は森の中を通る遠回りの道だった。海も見えるように見晴らしのいい箇所もあってよかった。

左はカフェとお土産、右奥に見えるのが豊島美術館

豊島美術館の「母型」は、一日を通して、いたるところから水が湧き出す「泉」です。ふたつの開口部からの光や風、鳥の声、時には雨や雪や虫たちとも連なり、響き合い、たえず無限の表情を鑑賞者に伝えます。静かに空間に身を置き、自然との融和を感じたとき、私たちは地上の生の喜びを感じることでしょう。

benesse-artsite.jp

この美術館の展示作品はひとつ。「母型」と呼ばれる作品だ。豊島美術館自体がその「母体」である。
中には小さなお皿や、ボールが置いてあるので気をつけて歩いてください。とスタッフからの説明があった。

事前情報を入れてなかったので、なんのことだかわからないままに美術館の中へ入ることに。中は土足厳禁、撮影禁止、会話は小さな声でとのことだった。

中は広いドームのような空間だったが、天井にぽっかりと大きな穴が空いていた。床を見ると、ところどころ水の流れたあとがあり、水たまりもできている。スタッフの説明の通りに小さなものも置いてある。

そしてもっとよく見ると床に小さな穴があることに気づいた。見続けているとその穴からコポコポと水が湧き上がって、水たまりに流れ込む。あるいは別の穴まで流れて落ちていく。

静かな館内に水の湧き上がる音と落ちていく音だけが反響していたのは不思議な感じだった。

たしかに気分がいいかもしれない。水をじっと見つめる人、寝っ転がっている人、みんな思い思いに作品を見ている。同じように寝っ転がってみたが、床は滑らかな触りごごちで気持ちいい。

朝早く、ひんやりとしていたので暖かさを求めて天井の穴から日差しが差しているところでしばらくまったりしていた。

目をつむると水の音と風の音だけが聞こえる。


心臓音のアーカイブ

ひっそりとしたプライベートビーチのような場所に美術館がぽつりと現れた。

ここには世界中の人の心臓音が収集されていて、それらを聴くことも、自分の心臓音を録音し、作品の一部にすることもできる。ここが一番来たかったところだった。豊島には心臓音を録りにきたと言っても過言ではない。

右に見えるのが心臓音のアーカイブ

絵画みたいな窓

館内撮影禁止のため、公式HPから写真を引用
ハートルーム 引用元:https://benesse-artsite.jp/art/boltanski.html

館内の展示は「ハートルーム」「レコーディングルーム」「リスニングルーム」の3つ。「ハートルーム」は誰かの心臓音が大音量で流れる暗い部屋だ。真ん中には電球があり、心臓音に合わせて点滅する。

明るくなった瞬間に壁にある無数の鏡に映る自分が見える。真っ暗になると本当になにも見えない。運良くひとりでこの部屋を堪能できたので貴重な体験だが、怖くもあった。

 

「レコーディングルーム」は心臓音を録ることができる防音室だ。

1台のモニターの前に聴診器が置いてあり、これを胸元に当てて録音する。録音データには短いメッセージの記入もでき、あとで「リスニングルーム」で聞くことも可能。

緊張して何回か撮りなおしをして、せっかくなのでメッセージも書いておいた。

 

「リスニングルーム」では、世界中から集められた心臓音をパソコンで検索して聴くことができる。日付、氏名などの検索条件から探したり、登録番号がわかれば指定して聴ける。

どうして心臓音を録りにきたのかをメッセージに書いている人もいた。定年だから来た、赤ちゃんが生まれたから、○年後にまた来ます!など、見ていて飽きないのでなかなかここから離れられない。

先ほどレコーディングした自分の心臓音もすでに入っていた。ここで恒久的に保存されていて作品の一部になったのだ。ハートルームで私の心臓音が流れるときもあるかもしれない。もしかしたら見知らぬ人に聴かれるのだと思うと不思議な感覚だった。

自分の心臓音が収録されたCD

f:id:boom_h2o:20230326135345j:image

 

昼食。有名店を覗いてみたが混雑でいつ入れるのかわからなかったので、道路の途中にあった定食屋さんに入った。

アジフライ定食

サクサクでおいしい!

豊島美術館(再入場)

豊島美術館は再入場可能なので、午後にもう一度入ってみる。

日差しの差し込む角度や水たまりの流れが変わっていて、朝一に来たときとだいぶ印象が違った。寒い中原付で走り続けていたのでついでに少しお昼寝も。

豊島美術館までの道中の景色
探索

美術館でゆっくり休憩した後は島内を散策。島を一周してみる。

見晴らし台

f:id:boom_h2o:20230326135521j:image
f:id:boom_h2o:20230326135508j:image
f:id:boom_h2o:20230326135625j:image

原付を返す時間が近づいてきたので港の方に戻ることに。

 

豊島横尾館

横尾忠則氏の作品が集められた美術館。

生と死をテーマにした作品が多いらしく、こちらも例に漏れずその通りだった。

外観

庭園

ピッカピカのトイレ

撮影用のトイレと実際に使用できるトイレのふたつがあった(内装は同じ)

使用できる方も入ってみたが、1ミリも落ち着かなくて面白かった。

 

探索2

帰りの船の時間までまだあったので浜辺を散歩した。港からは少し離れているので人も閑散としている。

シーグラス

こんなに人がいないなら、とレア色のシーグラスを探してみたけどさすがになかった。

ぼんやりした後に港に戻り、高松港へと帰る。

高松(夕食)

一日中動き回ってお腹がペコペコだった。香川出身の友人に教えてもらった居酒屋に入る。人気店のようで、私のあとに入ってきた人は帰されてしまっていた。

人情酒場 えんぎ屋

瀬戸内レモンサワーとオリーブのからしあえ

疲れた身体に染み渡る!!

焼き鳥おまかせ5本

豚バラが入っていて嬉しい。砂肝も。他はなにがなんだかわからなかったけど全部おいしかった。

骨付鳥と焼きおにぎり

ラストスパートに骨付鳥。お皿に溜まった油をおにぎりに吸わせると……幸せ。

大満足したのでホテルに戻り、心臓音のアーカイブで作ってもらったCDを見てみる。

モノクロでシック

豊島が写るジャケット

見ず知らずの人の心臓音が聴けたり、自分の心臓音が美術館の作品の一部になったことは初めてだったからかなりいい体験をしたなと今でも思う。

生きた証を残すなんて言うと少し恥ずかしいけれど、私は海が好きなので、豊島の静かで綺麗な海が見えるこの美術館にそれを残すことができてよかった。また何年後かに来たいところだ。

2023/3/19で検索するとおそらく私の心臓音が聴けます。

実はメッセージで思いっきり誤字をしていたので見ないでほしいですが

 

明日は夜の寝台列車で東京に戻る。日中の予定はなにも決まってない。

とりあえず早起きはするのでおやすみなさい。